台湾華語の発音において、最初にしっかりマスターしたいのが 「母音(韻母)」 です。
その中でも今回取り上げるのは、基本となる6つの単母音:
ㄚ・ㄛ・ㄜ・ㄝ・ㄞ・ㄟ
これらは単体でも使われ、他の子音(声母)と組み合わせて単語の中心的な役割を果たします。
似た音が多く、「なんとなく全部“ア”や“エ”に聞こえる」という声もよく聞きますが、それぞれ発音の仕方に明確な違いがあります。
この記事では、1つずつの発音ポイントと覚え方、例語をセットで学べるように構成しています。
目次
単母音の特徴と一覧

まずはそれぞれの単母音の特徴と一覧をまとめていきます。
注音 | 発音(ピンイン) | 注音表記 | 音のイメージ | 発音の特徴 |
---|---|---|---|---|
ㄚ | a | ㄚ | 日本語の「ア」より口を大きく開ける | 口を縦に大きく開けて、のどから出す |
ㄛ | o | ㄛ | 「オ」と「ア」の中間音 | 唇を丸くせず、軽く突き出す感じ |
ㄜ | e | ㄜ | 口を半開きにして曖昧な「エ」 | 日本語にない中間音、あごをゆるめて出す |
ㄝ | ê | ㄝ | 口を横に軽く引いて「エー」 | はっきりした「エ」音、軽く笑うように |
ㄞ | ai | ㄞ | 「アイ」と同じ | ㄚ+ーの複合感覚、最後に「イ」が残る |
ㄟ | ei | ㄟ | 「エイ」と同じ | ㄝ+ーのような音、唇を引いて出す |
よくある間違いと対策

間違い例 | 原因 | 対策ポイント |
---|---|---|
ㄚ・ㄛ・ㄜの違いが分からない | 「ア」系に聞こえる | 口の開き方・舌の位置を鏡でチェック |
ㄞとㄟが似すぎて混乱 | ai / ei の意識が弱い | 最後の「イ」の響きに注目して区別 |
ㄜを「エ」と発音してしまう | 日本語と混同 | ㄝが「エ」、ㄜはもっと曖昧で喉から |
例語リスト(注音+ピンイン付き)

次にそれぞれの注音符号の例語を用意しました。
実際の漢字がわかると発音のイメージがつきやすくなるかと思います。
注音 | 例漢字 | 発音(ピンイン) | 発音(注音) | 意味 |
---|---|---|---|---|
ㄚ | 爸 | bà | ㄅㄚˋ | お父さん |
ㄛ | 多 | duō | ㄉㄨㄛ | 多い |
ㄜ | 餓 | è | ㄜˋ | 空腹の |
ㄝ | 爺 | yé | ーㄝˊ | おじいさん |
ㄞ | 愛 | ài | ㄞˋ | 愛する |
ㄟ | 誒 | ēi / éi(感嘆詞) | ㄟ | あっ、えっ(驚き・呼びかけ) |
発音のコツと体感での覚え方

- ㄚ:「アー」と大きく開けて、のどからしっかり出す
- ㄛ:少し丸みをもたせた「オ」、でも英語の“o”ほど唇をすぼめない
- ㄜ:「ア」と「エ」の中間。口は半開きで、曖昧に「ウァ」みたいに出す
- ㄝ:はっきり「エー」。笑うように口角を少し上げて
- ㄞ:「アイ」。ㄚに続けて「イ」を乗せるようなイメージ
- ㄟ:「エイ」。ㄝから「イ」へすっと流れるように
練習方法のおすすめ
- 鏡を見ながら1音ずつ「口の開き・あごの角度」を確認しつつ音読
- 録音して、ネイティブ音声と比較(アプリ「Pleco」「注音冒険王」などが有効)
- 最初はㄚ・ㄛ・ㄜなど似た母音を並べて連続練習すると違いが定着しやすい
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まとめ

台湾華語の母音は、一見似ていても発音の仕方は全然違うことが多くあります。
- ㄚ・ㄛ・ㄜ → ア系だけど口の開き方・響き方が違う
- ㄝ・ㄞ・ㄟ → エ・アイ・エイの違いを滑らかさと口の形で判断する
「聞いたまま真似る」だけでなく、口の動き・息の流れを意識して練習することで正しい発音が自然にできるようになります。