台湾華語の発音をある程度マスターしたと思っていたのに、ネイティブと話してみると「ん?なんか違う…」と感じたことはありませんか?
実はその“違和感”の正体になりがちなのが、以下の3つの落とし穴です:
- ㄦ(er)= 台湾華語で意外と使われる「巻き舌音」
- 軽声= 声調を持たない軽い音節
- 声調記号= イントネーションで意味が変わる音の高低
この記事では、この3つについて、使い方・発音のコツ・学習時の注意点を整理して解説します。
目次
1. ㄦ(er)ってなに?いつ使うの?

ㄦ(ピンイン:er)は「巻き舌音」とも呼ばれ、台湾華語では中国大陸の北京語ほど多用されませんが、特定の単語でしっかり登場します。
✅ 発音のコツ:
- 舌を軽く巻き、喉の奥で「る」に近い音を出す
- ただし日本語の「る」とは響きが異なる → 「う」に近い「る」
✅ よく使われる単語:
漢字 | ピンイン | 注音 | 意味 |
---|---|---|---|
兒 | ér | ㄦˊ | 子供(語尾につけて「〜児」) |
二 | èr | ㄦˋ | 数字の「2」 |
台湾では「兒化音(語尾にerを付ける)」はあまり一般的ではないものの、単語としてのㄦは頻出なので正しく発音できるようにしておきましょう。
2. 軽声(声調なしの音)ってなに?

軽声(ピンイン表記で声調記号がつかない音)は、力を抜いて発音する「補助的な音」です。
例 | 発音 | 説明 |
---|---|---|
媽媽 | māma | 最初の「媽」は第1声、後ろの「媽」は軽声で発音 |
好了 | hǎo le | 「了(le)」は軽声。さらっと弱く言う感じ |
✅ 発音の特徴:
- 声調がなく、高低差をつけずにさらっと短く弱く読む
- 文末にあることが多く、主語・動詞・目的語をつなぐ役割
✅ よく使われる語尾軽声:
- 吧(ba)・了(le)・嗎(ma)・呢(ne)など
3. 声調記号の使い方と意味の違い

台湾華語の注音では、次の4つの声調記号が使われます。
声調 | 記号 | 高さ | 例 | 発音の特徴 |
---|---|---|---|---|
第1声 | ˉ | 高く平ら | ㄇㄚˉ(mā) | 高く保つ「まー」 |
第2声 | ˊ | 上がる | ㄇㄚˊ(má) | 上昇する「ま↑」 |
第3声 | ˇ | 下がって上がる | ㄇㄚˇ(mǎ) | 抑えてから上げる「ま↘︎↗︎」 |
第4声 | ˋ | 下がる | ㄇㄚˋ(mà) | 強く下げる「まっ」 |
✅ 意味が全く変わる例:
注音 | ピンイン | 意味 |
---|---|---|
ㄇㄚˉ | mā | 母 |
ㄇㄚˊ | má | 麻(しびれる) |
ㄇㄚˇ | mǎ | 馬 |
ㄇㄚˋ | mà | 叱る(罵) |
よくある間違いと注意点

落とし穴 | よくある誤解 | 対策 |
---|---|---|
ㄦの存在を知らない | 「アル?」と英語風に発音してしまう | 舌を軽く巻いて「うる」っぽく発音 |
軽声の部分に声調をつけてしまう | 「媽媽ˇ」のように音が重くなる | 力を抜いて短く、つなげるように発音 |
声調を適当にする | 意味が通じなくなる | 最初は「高→高・高→上・低→高・高→低」のリズムで練習 |
練習方法のおすすめ
- 録音して、「声調の高低」が自分の発音と一致しているか確認
- アプリで「音の波形」やピッチカーブが見えるものを使うと便利(例:Trainchinese、Pleco)
- 軽声や語尾音を「歌のように」なめらかにつなげる練習を取り入れるとリズム感が良くなる
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まとめ

台湾華語の発音を本当の意味でマスターするには、目立たないけど重要な音の扱いを丁寧に理解することが不可欠です。
- ㄦ:巻き舌音だが、単語内で登場するので油断禁物
- 軽声:力を抜いた“つなぎ音”。意味のニュアンスに影響
- 声調:意味を決定づける最大の要素。練習の最優先ポイント
発音に“なんとなくのクセ”が残っている人は、このあたりを見直すことで、グッと自然でネイティブに近い発音に近づけますよ!